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生理痛の治療について

[2025.05.29]

こんにちは、産婦人科医の林博美です。前回は生理痛を婦人科で相談するメリットについてご説明しました。

今回は、生理痛に対する主な治療法をわかりやすくご紹介します。

生理痛はなぜ起こる?

生理のとき、子宮は「いらなくなった内膜(経血)」を押し出そうと収縮します。
このときに出る「プロスタグランジン」という物質が、痛みのもとになります。
その分泌量が多かったり、子宮が敏感だったりすると、痛みが強くなります。

また、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合もあります。

治療の選択肢

1. 鎮痛剤(NSAIDs)

「ロキソニン」「イブ」「ボルタレン」などの鎮痛薬は、痛み物質「プロスタグランジン」の合成を抑え痛みを取ってくれる、生理痛治療の第一選択です。
ポイントは「早めに飲むこと」。
痛みが強くなる前に服用することで、効果が出やすくなります。

よくある誤解に、「薬に頼るとクセになるのでは?」という声がありますが、これは間違いです。
適切な量の使用は問題ありませんので、我慢せずに使ってください。

2. 低用量ピル(LEP)・ディナゲスト|「飲む」ホルモン薬

月経痛が強い方に、近年とても増えている選択肢です。
排卵を抑え、子宮内膜を薄くすることで経血の量を減らし、生理痛を根本から軽くする効果があります。

・毎月、生理が来るたびに寝込んでしまう
・生理日をコントロールしたい
・PMS(月経前症候群)がつらい
・子宮内膜症や筋腫などの病気がある

こういった方には特におすすめです。受験や大会に備えて始められる方も多いです。
保険適用のピル(LEP製剤)もあり、後発品だと安いもので月々500円前後からあります。

低用量ピルとディナゲストの違いはこちらの記事で詳しく書いていますので読んでみてください。

低用量ピルとディナゲスト ホルモン剤の違いについて

3.ミレーナ|子宮に入れるホルモンの薬

「ミレーナ」は子宮の中に小さな器具を入れ、局所的にホルモンを届ける方法です。
避妊としても使われますが、月経痛や過多月経に対する治療としても非常に有効です。

・経血の量が多い
・子宮内膜症がある
・毎月の生理がとにかくつらい

こういった方に向いており、最長5年使用可能です。
治療目的の方は保険適用が可能です。

4. 漢方薬|体質からやさしく整える

冷え、血流の悪さ、ホルモンバランスの乱れなど、体質の根本にアプローチするのが漢方です。
即効性よりも、根本的な改善を目指す方に向いています。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の滞り、塊のある出血
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え・むくみ体質
・加味逍遥散(かみしょうようさん):イライラ・PMSの強い方

ピルが合わない方や自然な治療を求める方にも取り入れられています。

5. 生活改善

生理痛は冷えやストレス、圧迫などで悪くなる傾向にあります。生活の中でできるこんなこともあります。

・お腹を温める
・ストレスを溜めない
・締め付けのない服・下着をつける
・鉄分・ビタミンをしっかりとる

どの治療がいいの?→あなたの「生活と体質」に合わせて選びましょう

生理痛の治療は「これが正解」というものではありません。
薬でコントロールする方法、体質から改善する方法、長期的に負担を減らす方法など、さまざまな選択肢があります。

あなたの体と生活に合った治療法を、一緒に探していきましょう。

まとめ|「毎月のつらさ」から、そろそろ卒業しませんか?

生理がつらいと、仕事もプライベートも思うように過ごせませんよね。
でも、生理痛にはちゃんと治療の方法があるということを、ぜひ知っておいてほしいのです。

・痛み止めが効かなくなってきた
・ピルを試してみたいけど不安
・婦人科に行くのが怖い

そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの「生理との向き合い方」、一緒に見直していきましょう。

 

にへいファミリークリニック千葉

林博美

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