小児のおりもの異常、デリケートゾーンのかゆみ
こんにちは、千葉市にへい脳外科で婦人科診療をしている林です。
最近は小さいお子さんの受診も目立つようになりました。
子供とはいえ女の子は年齢が低くても自分のプライベートゾーンをよく分かっていて(とても素晴らしいことだと思います)、陰部を見せることに抵抗のあることが多いようです。
お子さんが女の先生ならいい、と言ってご受診頂くケースも多いです。
今日は乳幼児〜中学生くらいの女の子によく見られる症状について説明していこうと思います。
当院での診察方法
当院で小さいお子さんの診察をする場合は、年齢にかかわらず本人の了承を得るように心がけています。
診察はなるべく内診台ではなく通常の診察台で横になっていただき、保護者の方に横について頂きながら診察をしています。
子宮や卵巣の超音波検査が必要な場合も、可能な限り経膣的ではなくおなかの上からあてています。
その他診察の事でご要望があれば診察前にお伝えください。
おりものの異常
小児のうちは女性ホルモンがたくさんでないのでおりものがないことが普通ですが、黄色いおりものがおむつやパンツに付着することがあります。これは膣にばい菌が入って増殖し、膣炎をおこしている時によく見られます。
もともと外陰部というのは肛門が近く、下着の中で蒸れやすい環境もあり清潔な場所ではありません。よくあるのはおむつが外れてパンツになったタイミングなどで陰部が気になって触ってしまったり、うんちの後に後ろから前(肛門から膣の方)に向けて拭いたりすることで菌が膣に入って感染してしまうケースです。
ほとんどの菌は大腸菌や腸球菌など悪い菌ではなく自然に治ってしまうケースもありますが、かゆみが強く頻繁に掻いてしまうとそのまま皮膚炎になってしまうこともあるので症状が強い場合は早めに受診してください。
受診されたらどんなばい菌がいるか調べるために培養検査を出します。綿棒で陰部を少しこするだけの、痛みはない検査です。
治療は抗生物質の塗り薬で開始します。かゆみや炎症が強い場合は、弱いステロイドの入った塗り薬を追加することもあります。ほとんどは1週間程度で治っていきますが、治らない場合は抗生物質の飲み薬を使うこともあります。
おうちでは以下のように対応してあげてください。
・汚れた下着やおむつは頻繁に変える ・排便後は前からうしろに拭く ・入浴時、陰部は優しくシャワーで流す(石鹸などは必要ありません) ・かゆみが強い時は保冷剤で冷やす |
デリケートゾーンのかゆみ
デリケートゾーンがとにかくかゆい、といったお子様もよく見られます。外陰部が赤くなったりかゆくなったりしている状態を外陰炎と言います。
外陰炎の原因には以下のようなものがあります。
・下着やおむつ、おりものシートとの接触 ・石鹸や洗濯洗剤へのアレルギー ・細菌感染 |
細菌感染の場合は先述したようにおりものの異常を伴うことも多く、抗生剤での治療が必要になります。
下着やおむつとの接触やアレルギーが原因と思われる場合は、まず原因と思われるものを排除するのが鉄則です。
下着は通気性のよい綿100%のものがおすすめで、汚れたらすぐに取り換えられると良いです。おりものが出てきて気になってくる年齢の子もいますが、できるだけおりものシートは使わずに下着の交換をしましょう。
陰部は石鹸で洗う必要はありませんので、シャワーで軽く流す程度で十分です。洗濯洗剤も無添加のものを一度試されると良いかもしれません。
原因を取り除きつつ、かゆみに対して塗り薬や飲み薬で対応してなるべく陰部を掻かないことで次第によくなっていきます。
外陰炎は慢性化すると陰部の皮膚が硬くなってしまう苔癬化を起こして治りにくくなりますので、早めの対応がおすすめです。
睡眠不足やストレスでもかゆみが気になって悪化する傾向にありますので、なるべく取り除いてあげられると良いですね。
にへい脳外科
産婦人科 林博美