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低用量ピルとディナゲスト ホルモン剤の違いについて

[2023.06.16]

こんにちは、千葉市のにへい脳外科で産婦人科を診療している林です。

女医さんが開業して嬉しいとお声掛けいただいて、私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

これまでなかなか言えなかったお悩みにもしっかり向き合っていこうと思いますので、お気軽にご受診ください。

 

さて本日は、診療で使用することの多いホルモン剤についてご説明していこうと思います。

 

生理に関するお悩みでよくあるのは生理痛、生理の量が多い、生理不順、PMS(生理前の体調不良)、排卵痛などです。

詳しい説明は省きますが、これらの原因は

●排卵すること

●子宮の内膜が分厚くなって生理がくること

の2つによるものです。

そのため単純に考えると、排卵を止めて、子宮内膜を分厚くしないことで悩んでいる症状は改善できることになります。

それを可能とする飲み薬は、現在3種類あります。

①低用量ピル

②ディナゲスト(ジエノゲスト)

③レルミナ(GnRHアンタゴニスト)

③のレルミナは半年間しか連続で服用できないため限定的な使用になることが多いので、今回は①低用量ピル、②ディナゲストについて解説していきます。

2つのお薬について表にまとめてみました。

  低用量ピル ディナゲスト1mg
入っているホルモン

女性ホルモン(エストロゲン)+

黄体ホルモン

黄体ホルモンのみ
飲み方

1日1回内服

21~120日おきに4-7日間休薬

(ピルの種類によって決まります)

1日2回内服

休薬はせずに飲み続ける

生理はどうなる?

休薬期間に生理が来る

(長く飲んでいると来なくなることもあります)

生理は来ない

作用

排卵を止める

子宮内膜を厚くしない

子宮内膜を厚くしない

排卵を止める

何に効く? 生理痛、排卵痛、PMS、避妊 生理痛、子宮内膜症の治療
副作用

不正出血(10-20%)、頭痛・吐き気(5%以上)

飲み始めて数か月で落ち着いてきます

血栓症リスク2-3倍

不正出血(約80-90%)、ほてり(20%)

飲み始めて数か月で落ち着いてきます

血栓症リスクは増えない

値段(保険適用の自己負担)

約800~2,300円/月

(ジェネリック含)

約1100~3,500円/月

(ジェネリック含)

飲めない人

肥満の方

喫煙する方

前兆のある片頭痛がある方

40歳以上の方

妊娠中・授乳中の方

高血圧・糖尿病・てんかん・肝臓の病気がある方

など

重症の貧血の方

強いうつ傾向のある方

どんな人におすすめ?

健康な若い方で、子宮卵巣に大きな病気がなく、

避妊や肌荒れの効果も欲しい方

40歳以上の方

生理痛の程度がひどく、子宮に病気のある方

その他 低用量ピルにはたくさん種類がありますので相談して決めていきます。 ほてりなどの症状が強い場合や生理痛のみで子宮に問題がない場合は0.5mgに減量することもあります。

①低用量ピル

女性ホルモン(エストロゲン)+黄体ホルモンのお薬です。排卵を止めて子宮内膜が厚くなるのを防ぎます。1日1回だいたい同じ時間に飲みます。飲んでいる間は生理は来ず、21~120日間連続で内服して休薬すると生理が来ます。数日の休薬を挟んでまた内服を開始します。

排卵を止める効果が強いので避妊としても高い効果があり、また少量のエストロゲンが含まれているため肌荒れ予防などの嬉しい効果もあります。

しかしエストロゲンの影響で血管内に血栓を作ってしまうリスクが上昇してしまう副作用があります。ピルを飲んでいない人の血栓リスクは1万人に1-5人、ピルを飲んでいる人だと1万人に3-9人という感じです。肥満や喫煙、40歳以上など、血栓リスクをさらに高める要素を持っている方には原則として処方しません。

②ディナゲスト(成分名:ジエノゲスト)

黄体ホルモンだけのお薬です。排卵を止める作用はピルと比較すると弱いですが、子宮内膜が厚くするのを防ぐ作用がとても強いです。朝晩の2回の内服で、休薬せずずっと飲み続けます。生理は基本的に来ませんが、飲み始めの数か月は不正出血がだらだらと続くことがあります。

避妊の効果はピルほど強くないため、別の避妊法(コンドームなど)と併用していただきます。

よくある副作用は不正出血(80%以上)、ホットフラッシュなどの更年期症状(20%)で、血栓リスクを高めないのでピルを飲めない方でも飲むことができます。重症な貧血がある方、うつ病の既往がある方には慎重に投与が必要です。

飲み薬ではないですが、同じ黄体ホルモンで子宮内に挿入するミレーナという器具もあります。効果はディナゲストと同様で、子宮卵巣だけに作用するため更年期症状などの心配がなく、避妊効果が高いです。ミレーナについてはこちらのブログで詳しく書いています。

 

患者さんのお悩みの内容や子宮卵巣の状態によってどんな飲み薬がいいかはかわってきます。

ホルモン剤ではなく、漢方を使用することもあります。

皆様にとって少しでも良い選択ができるよう、お悩みに寄り添って診療していきたいと思っております♪

 

千葉市中央区都町 にへい脳外科

産婦人科 林博美

 

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