子宮ガン検診 結果の見方
こんにちは、千葉市にへい脳外科で婦人科診療をしている林です。
令和5年度の千葉市子宮ガン検診が始まりました。
前回は受診の流れをご説明しました。
今日はがん検診の結果の見方について解説していきます。
結果の用紙を受け取ると、結果の欄には大体こんなことが書いてあります。
ClassⅡ / 陰性(NILM) |
とか、
ClassⅢa / 要精密検査(ASC-US) |
みたいな感じです。
見慣れない文字ばかりで読み方もよくわかりませんね。
まず最初の「Class〇」という部分は、日本が昔から使っていた細胞診(がん検診で行う細胞の検査です)の分類をあらわしています。
Class(クラス)1~5まであって、それぞれが下のような結果です。
結果 | どんな状態? |
クラスⅠ | 異常な細胞はない、正常な状態 |
クラスⅡ | 異常な細胞があるが、良性 |
クラスⅢa | 軽度異形成を疑う |
クラスⅢb | 高度異形成を疑う |
クラスⅣ | 癌の可能性が強い |
クラスⅤ | 悪性(がん)である |
このクラス分類はとても簡潔でわかりやすいのですが、細胞の検査はこのようにはっきりとわけられないことも多く問題となっていました。
そこで出てきたのが後半のNILM(=ニルム、と読みます)やASC-US(=アスカス)の部分です。欧米が使用していた細胞診の分類で、ベセスダ分類といいます。微妙な細胞の様子を表すのに便利で、日本でも統一して使用されるようになりました。
子宮頸がんには扁平上皮がん(約75%)と腺がん(約23%)という2種類の組織型があります。べセスダ分類は細胞の異常をこの2つに分けて、さらに異常の度合いを分類しています。
<扁平上皮細胞の場合>
結果 | どんな状態? | どうしたらいいの? |
NILM(ニルム) | 正常 | 定期的な検診を続けましょう |
ASC-US(アスカス) | 軽度の異常があるかもしれないが、微妙 | 子宮頸がんの原因になるHPVウイルスがいるかどうか調べます |
ASC-H(アスクハイ) | 高度の異常があるかもしれないが、微妙 | 精密検査(コルポスコピー、組織診)を受けましょう |
LSIL(ロウシル) | 軽度の異常(HPV感染、軽度異形成)が疑われる | |
HSIL(ハイシル) | 高度の異常(中等度・高度異形成、上皮内がん)が疑われる | |
SCC(エスシーシー) | 子宮癌が疑われる |
<腺細胞の場合>
結果 | どんな状態? | どうしたらいいの? |
AGC | 腺細胞に異型がある |
子宮頸部の精密検査(コルポスコピー、組織診) +子宮体がん検査*(細胞診、組織診)を受 けましょう |
AIS | 上皮内腺がんが疑われる | |
Adenocarcinoma | 腺がんが疑われる |
*子宮体がんのほとんどが腺がんのためです。
精密検査ってどんな検査?
上記の結果をみて気になるのは、追加の検査のことだと思います。
まずASC-USのときに行うHPVの検査は、子宮頸がんを起こしやすいウイルスがいるかどうか調べるもので、がん検診と同じような検査です。
この検査は当院で施行できます。
HPVがいない場合:
定期的ながん検診(1年ごとでOKとされていますが、症状などに応じて3~6か月後に予定することもあります)
HPVがいた場合:コルポスコピー、組織診へ
コルポスコピーって?組織診って?
簡単に言うと子宮頸部を拡大鏡のようなもので見て、異常のありそうな部分をちぎり取ってくるような検査です。びっくりするかもしれませんが、痛みは一瞬でそこまで強くありません。
異常のある部分を見やすくするために酢酸で細胞を加工するので、酸っぱいにおいのする検査、と言う患者さんもいました。
こちらは出血のリスクがあるため当院では施行していませんので、他施設へ紹介になります。
受診時の注意点として生理中は避けて頂くようお願いしています。
気軽に質問してください
いろいろ書きましたが、やはりわかりやすく説明するのは難しいですね。
当院は医師と対面で結果のご説明をしていますので、わからないことはどんどん聞いて下さいね。
千葉市中央区都町 にへい脳外科
産婦人科医 林博美