メニュー

更年期の治療:漢方について

[2025.03.21]

こんにちは、千葉市で婦人科を開業している林博美です。

開院当初から特に更年期障害でお悩みの方のご相談が多く、日々勉強させて頂きながら診療させて頂いています。

もともとは大きい病院で出産やガンの診療などをしていたので更年期の患者さんと出会うことが少なく、実際に向き合ってみて患者さんの多さと症状の多様さに正直驚きました。

そんなときに出会ったのが漢方で、これもまた効き目の強さに驚きでした。

患者さんがすごく効く!とてもいい!と言うので、つられて自分も使うようになり、確かに効果があるなあと日々助けられています。

 

「あなたは更年期ではありません」??

更年期障害って、「この検査が陽性だから更年期」、「この症状があるから更年期」というような決まりがないんですよね。

なので他人から理解されづらく、特効薬もなく、でも明らかな症状があって途方に暮れている患者さんによく出会います。

他院でホルモン採血をして、女性ホルモンがしっかり出ているから更年期ではないと言われたという話もよく耳にしますが、私はそれはちょっと違うかなと思います。

更年期と診断する決まりはないし、更年期でないと診断する決まりもないんです。

そもそも女性ホルモンは月経周期や年齢など様々な要因で変化します。以前の自分より女性ホルモンが少しでも減っている、というを体が感じ取って症状が出るのであって、今の数値が基準内だからといって更年期は否定できません。

男性でも女性でも、中年期の方で何かしらの不調があり、ほかの疾患が疑われない場合は更年期として治療を開始して良いです。男性でももちろんありますよ。

 

漢方は病気ではなく症状に効く

漢方の面白いところは、病気を診断してその病気を治すという薬ではなく、今患者さんが困っている症状に対して処方するところです。

このあたりも明確な診断基準がない更年期と相性がいいなと思います。

そのため一口に「更年期の漢方」と言っても、お悩みの症状によって処方する漢方は全く違ってきます。私がよく処方する漢方について少し解説してみます。

 

更年期障害によく使われる漢方薬

 

それぞれの漢方の特徴と、適応のある人の例を紹介します。*青字は体力や体格が虚弱~平均的な方、赤字は平均~強めな方に合う漢方です

加味逍遙散(かみしょうようさん)

特徴:気血の巡りを整え、ストレスやホルモンバランスを調整する。更年期障害や自律神経の乱れによる症状に用いる。
適応のある人:イライラしやすく、冷えやのぼせを感じる女性。生理不順や更年期障害、不眠、不安感がある人。

加味帰脾湯(かみきひとう)

特徴:血と気を補い、精神的な疲労や不眠を改善する。
適応のある人:心配性で疲れやすく、顔色が悪い。貧血気味で、不眠や動悸、健忘がある人。

女神散(にょしんさん)

特徴:女性の体質改善や精神的な症状の緩和を目的とする。月経に関するトラブルを改善。
適応のある人:生理前にイライラや不安感が強く、月経痛やめまいがある女性。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

特徴:ストレスや精神的な興奮を抑え、不安や緊張を和らげる。高血圧や不眠にも効果的。
適応のある人:神経が過敏でイライラしやすく、不眠や動悸がある人。ストレスで胃腸の調子が悪くなるタイプ。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

特徴:ストレスによる喉のつかえ感(ヒステリー球)や不安症状を改善する。
適応のある人:喉に違和感があり、ストレスで胃腸の調子を崩しやすい人。不安感が強く、ため息が多い人。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

特徴:血行を促進し、冷えやむくみ、貧血を改善する。婦人科系の症状に用いられる。
適応のある人:冷え性でむくみやすく、生理不順や貧血がある女性。妊娠中の体調管理にも用いられる。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

特徴:血の巡りを良くし、瘀血(血の滞り)を改善する。
適応のある人:生理痛が強く、下腹部に圧痛を感じる女性。顔が赤らみやすく、肩こりや頭痛がある人。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

特徴:桂枝茯苓丸よりも強力に瘀血を改善し、便秘を伴う生理痛やのぼせを治す。
適応のある人:便秘がちで、生理痛が激しく、イライラしやすい女性。顔が赤くのぼせやすい人。

温経湯(うんけいとう)

特徴:冷えによる婦人科症状や血行不良を改善する。
適応のある人:手足が冷えやすく、生理が不順で経血量が少ない人。不妊症の体質改善にも用いられる。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

特徴:気力や体力を補い、疲れやすさや虚弱体質を改善する。
適応のある人:慢性的な疲労感があり、風邪をひきやすい人。食欲不振や倦怠感がある人。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)

特徴:補中益気湯よりも強力に体力を補い、病後の回復を促す。
適応のある人:病後や手術後で体力が落ち、食欲不振や貧血がある人。慢性的な疲労や息切れがある人。

 

あなたに合った漢方を見つけるには?

更年期の症状は人それぞれ。だからこそ、自分の体質に合った漢方を選ぶのが大切です。自己判断で選ぶのもいいですが、専門の医師や薬剤師に相談すると、より効果的な漢方に出会えます。

当院でも、更年期の漢方相談を行っています。お一人おひとりの体質やお悩みに合わせた漢方をご提案し、より快適な日々を過ごせるようお手伝いしています。

生活習慣の見直しも大切

漢方とあわせて、生活習慣を少し見直すだけでも、症状がぐっと楽になります。

適度な運動

ウォーキングやストレッチで血行を促進。

バランスの良い食事

大豆製品(イソフラボン)や鉄分、ビタミンB群を意識して摂る。

ストレスを溜めない

趣味やリラックスタイムを大切に。

質の良い睡眠

寝る前のスマホやカフェインを控えてぐっすり眠る。

 

まとめ

更年期の症状は決して我慢しなくていいんです。漢方は、体の内側からじっくり整えていくので、長い目で見て健康を支えてくれます。「なんだか調子が悪いな…」と思ったら、お気軽にご相談ください。あなたにぴったりの漢方を一緒に探しましょう!

当院では、更年期の漢方相談を随時受け付けています。気軽にお話しに来てくださいね!

 

千葉市中央区都町

にへいファミリークリニック千葉

林博美

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME